短編ポエム小説「愛のカルマ」
作:山下慎一狼
あの夜の、美しく艶やかに咲き誇った恋を思い出す。
赤く熟れた果実のように、私の心を熱くさせては刺激を与えてくれた。
それは夢のような瞬間。
すぐそばで感じるあなたの鼓動だけが私のすべてだった。
そう、あなたの素肌に触れながら甘く充たされていく時間は、
私にとってなによりも大事な時間だったの。
だけどどうして?
私は気付いてた。
あなたの瞳はとっくに私を見ていなかった事。
見ようともしていなかった。
もっとその瞳の温かさで私を見守って欲しいのに。
いつから?
あなたの心が私に届かなくなったのはいつからだったの?
私はあなたへの愛のために今まで生きてきた。
これからもそう。
だから私はあなたへの愛のために泣いてしまうだろう。
きっともう叶わない、戻ってこない楽しかった日々を思い出すたびに。
逢いに来てよ!
今すぐ私に逢いに来て!
そしてもう一度愛を見せてよ!
そうすれば私はきっと幸せを感じることが出来るはずなのに。
最後のあの言葉は嘘だって、キツイ冗談だったんだって、
申し訳なさそうに言うあなたの顔を見せてよ、ねぇ……。
あなたとの恋は甘いばかりじゃなかった。
ときにはケンカもしたし、口を利かなくなる事だってあった。
他の女に目が行くようなら激しい嫉妬に我を忘れたり。
つらい事、悲しい事、切ない事、たくさんあった。
でもそのたびに強くなる気持ちが確かにあったから、
いっぱい傷ついたけれど、でもそれが私たちの絆を深くしたって信じてたのに。
気が付けばあなたは私を避けるようになった。
私に何が足りなかったの?
あなたは誰にだって優しい。
だからみんなあなたの事を慕って、頼ってくる。
だけど私はあなたのその大きな包容力の一欠片でさえ感じなくなってしまった。
いったい私たちはどこですれ違ってしまったのだろう。
もうあなたは私に振り向く事はないのだろう。
でも私は違う。
おさまらない。
しずまらない。
あなたへの想いはどんどん膨れ上がっていく。
行き場のない想いがただ増えていく。
でもそれは迷惑?
私があなたを想うのは迷惑ですか?
あなたを想い続ける事は許されないことですか?
たとえそれを誰一人認めてくれなくても、もう理性だけでは止められないよ。
わかるでしょ…?
私はずっとあなたへの愛のためだけに生きてきたの。
さよならを告げられた日は涙が枯れるまで泣きたかった。
だからいつまでも泣きじゃくった。
でも枯れることはなかった。
もう返れない。
二人で過ごしたあの日々には返る事は出来ない。
そう思うと涙はまた込み上げる。
止めど無く溢れていく。
逢いたい…。
もう一度あなたの声が聞きたいの。
そうすればせめてその瞬間はこの涙を止める事が出来るから。
そうすればきっと、愛のカルマが終わりを告げる日が来るから……。
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